ミツバチ脳に社会性の秘密
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2007年1月7日の日本経済新聞にミツバチについて面白いことが掲載されていましたので、紹介します。
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集団で生活し仕事を分担するなど社会性を持つミツバチ。
最近の研究では計画的な行動をしたり、抽象的な概念を理解したりと、これまで思われていた以上に賢いことがわかってきた。
しかも脳は人間の十万分の一しかない。こんなミツバチの謎に迫る研究が進んでいる。 |
2006年10月に英科学誌ネイチャーで、ミツバチのゲノム(全遺伝情報)解読した論文が発表された。ゲノム解読によりハチの社会性の秘密が解明につながるとの期待がもたれた。
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半世紀以上も前にドイツの学者が発見したのは、ハチが「8」の字ダンスをして花がある場所を仲間に教えるという行動です。
その後、玉川大学の佐々木教授の研究グループは、ミツバチが先を読んで計画的に行動する能力があることを見つけた。
ミツバチがダンスを踊る時に翅(はね)をふるわせて音を立て、音の長さで花までの距離を表している。
この研究グループは、蜜集めから帰ったミツバチがたてる音の長さを計り、距離を計算した。
さらにその音を聞いて出かける別のミツバチを捕まえ、飛ぶための燃料として蜜をどれくらいもっているか調べた。
ミツバチは体にあらかじめエネルギーをためておけないので、飛ぶ時はその間に消費するエネルギー源として蜜を持って出かける。
観察の結果、最初に出かける時の蜜はその距離に必要な量の3−4倍であった。しかし、おなじ花に3、4回目に出かけるときは、ちょうど必要量になることがわかった。
最初は迷子になったときに備えて多めに持ち、慣れてくると無駄がないように修正するという。
別の研究では、「おなじ」「違う」といった抽象概念を理解したり、飛んでいる最中に視界に映る風景の流れを量的に捉えて距離を計測していることも分かった。
ミツバチの脳は、細胞が100万個しかない「微小脳」と呼ばれる昆虫の小さな脳で、どうしてこうした複雑な行動ができるのだろうか。
それは、役割ごとの脳の「作り替え」が言われる。働きバチは成虫になって当初は巣の中で掃除や女王バチの世話をし、年を経ると外で巣集めなどをするようになり、学習能力もたかくなる。それにつれ記憶や学習にかかわる脳の「キノコ体」という部分の特定個所の容積が約15%大きくなる。ハチの集団生活が脳の発達を促しているかも知れないと言う。
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知っているようで知らないミツバチ豆知識 |
1 オスバチは受精していない卵、働きバチと女王バチは受精した卵から生まれる。
2 働きバチはすべてメスで、持っている遺伝子は女王バチと全く一緒。
3 メスの幼虫にロイヤルゼリーを食べさせ続けると女王バチになる。途中から花粉と蜜を混ぜると働きバチに
4 巣内の気温を1年中セ氏33度程度に保つため、暑い時は翅(はね)を動かしたり、外から水を運び込んだりして冷やし、寒い時は筋肉を緊張させて発熱する。
5 蜜のありかが100メートル以下の距離にあれば円のダンス、100メートル以上なら8の字ダンスというのが定説。 |